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M-1グランプリ2007の総括

M-1グランプリ | 2007年12月24日 |

長文です。読みたい人だけ読んでください。
文責:管理人(ハエ)
M-1グランプリには「変化球漫才」と「正統派漫才」のせめぎあいを見る楽しみがあります。
M-1グランプリが単なる正統派漫才の技術コンテストとして位置づけられているのであれば、決して現在のようなビッグイベントにはなっていなかったでしょうし、昨年のように漫才の基礎技術を習得していない素人が決勝戦に残る事などありえなかったでしょう。やはり審査員の方々(や観客の我々)も新しい主流の漫才師の登場を待っているのと同時に、既存の漫才フォーマットを覆すような革新的な漫才師の登場も期待しているというのが本音なのではないでしょうか。
ただ残念ながら、おそらくその変化球漫才の筆頭として位置づけられているであろう笑い飯や千鳥、POISON GIRL BANDなどが全く期待に応えられなかったのが今年のM-1グランプリの象徴的な出来事だったのではないかと思います。彼らの変化球は確かに凄い変化球なんだけれども、球筋にクセがありすぎているためにすでに読まれ始めてきているという現実があって、これを次々に超えて行かないとどんどん飽きられていくという宿命的なリスクも抱えています。審査員の方々にしても「変化球」側が本当に納得のいくネタを披露すれば間違いなくそちらをプッシュするはずですし、それに応えられそうで応えられていない彼らに対する歯がゆさがTVを通じても伝わってきます。
笑い飯に限って言えば、これが彼らの漫才の唯一無二のスタイルであり、彼らが他に類を見ないような場所に立っている事はまぎれもない事実でもあるので、今後もあのビーンボールすれすれの変化球を投げ続けてほしいと思いますし、何を言われようともこのまま彼らのスタイルを押し通して欲しいと思います。この限りにおいては我々笑い飯ファンも彼らの応援をやめる事はないでしょう。
問題はM-1用にネタをすり寄せるという「戦略」が必要なのか、あるいはそうではないのかという事だと思います。本当にM-1で優勝したいのであれば現状のようなスロー・スタートかつ隙間の多いテンポでは、あの独特の雰囲気のお客さんの爆笑を取り審査員の高得点を得るのは非常に難しい。島田委員長が言っていたように「M-1に特化したネタを作る」必要も出てくるのかもしれませんね。そのためには当然M-1グランプリの分析も必要でしょう。何か広告代理店の仕事みたいで嫌ですけど。
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さて話を今年のM-1グランプリに戻します。
個人的なベストネタはトータルテンボスの二本目「旅行代理店」でした。今年が最後のチャレンジという事で本当に気合いが入っているのがヒシヒシと伝わってきましたし、一本目のネタをも微妙に絡めつつ最後は藤田氏がツッコミからノリに変わるという見事なギアチェンジを行うなど本当に完成度が高く素晴らしかった。サンドウィッチマンという一大ハプニングがなければ間違いなく優勝していたと思います。
それにしてもサンドウィッチマン。来年のM-1グランプリのオートバックスのCMには彼らが登場することを考えると、オートバックスも頭を抱えているのではないでしょうか(笑)。M-1グランプリのガチ度を思い知らされた今回の決勝戦でした。「●●や▲▲が決勝に入っているなんて出来レース云々」と書いていた人がいましたが、それは間違いです。M-1グランプリはガチ。たぶん。
サンドウィッチマンのネタも本当に素晴らしかったと思います。特にボケの富澤氏の生活感の漂いっぷりがもうね。あんなくたびれた街頭インタビュアーがいたら本当に嫌ですよ。